ネコちゃんの慢性腎臓病に要注意!
猫シニア期のネコちゃんの代表的な病気として、多くあがる「慢性腎臓病」は、15歳以上の70〜80%がかかると言われています。
慢性腎臓病は初期症状等がないことから、腎臓機能の60〜70%に障害が起こるまで発覚することがありません。さらに、原因はわかっておらず、完治の見込みがないことから症状を遅らせながらQOLを向上させることが重要となる病気です。
今回は、ネコちゃんの慢性腎臓病に関して解説します。
慢性腎臓病の原因
慢性腎臓病の原因としては、主に次のようなことが挙げられています。
・細菌や猫伝染性腹膜炎等のウイルス
・外傷
・薬物などによる中毒
・心筋症がショックなどの腎流血量の低下
・結石などによる尿路の閉鎖
など
普段の生活では気付かないことも多々あるため、定期的に健診を受けることで客観的に数値等を見ることができます。
慢性腎臓病は「早期発見・早期治療」が重要なのです。
慢性腎臓病の症状
慢性腎臓病になると、老廃物の排泄機能が低下します。本来、腎臓の機能が正常であれば100%の老廃物を排泄できるため、1回の排尿で済むものが何度も出さなければならないのです。
また、水分摂取量よりも排泄量が多くなるため脱水が進行してしまうこと、老廃物が体に溜まりやすくなることから胃腸の粘膜が障害を受け、食欲不振や嘔吐、下痢などの消化器症状が起こります。さらに症状が進行すると、痙攣などの神経症状につながります。
初期症状はわかりにくいですが、口臭が強くなることも特徴の一つなので、「いつもよりも口臭がきついかな?」と思ったら、一度動物病院を受診すると良いでしょう。
慢性腎臓病のステージ
慢性腎臓病には、主に1〜4のステージがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。
ステージ1
症状が検査による異常が見られません。ただし、尿検査や腎臓の形状によっては気が付く可能性もあるため、定期的な健康診断では尿検査までしっかりと受けるようにしましょう。
ステージ2
この頃から、水の多飲と多尿が見られるようになります。腎機能が低下してくるため、薄い尿を大量に出さざるを得なくなり、脱水を起こしやすくなるため注意が必要です。
基本的には元気そうで食欲もあるため異常に気付きづらいですが、腎機能は正常の4分の1程度まで低下していることがあります。
ステージ3
ステージ3では、尿毒症の発症が始まります。また、口腔や胃の粘膜が荒れて口内炎や胃炎になるリスクが高まります。さらに、食欲低下や嘔吐などの症状が見られるため、貧血なども起こります。
このステージになると、生命維持に必要な腎機能が残っているため、再生医療などによって進行を遅らせることでQOLの維持や改善を目指す治療を行うことになります。
ステージ4
非常に重篤な状態です。尿毒症が悪化し、積極的な治療なしでは生命維持が困難になってしまっています。
このステージになる前に、できる限りの治療を行うことが必要です。
基本的な治療
慢性腎臓病の治療は、基本的には早期発見・早期治療が大前提です。限りなく早い段階で見つけておくことで、ネコちゃんの病気の進行を抑えることができます。ただし、「完治すること」はありませんので、あくまでも遅らせることだけです。
慢性腎臓病の治療では、「食事療法」「内服薬」「点滴」を組み合わせることが多く、さらに飲水管理をすることで症状を遅らせます。
治療の詳しい内容については、かかりつけ医に聞いていただき、それぞれのネコちゃんにあった治療を行うようにしましょう。
獣医師は、しっかりと検査をおこなった上で最適な治療についての提案をしてくれます。
日頃からできること
慢性腎臓病を早期発見もしくは予防するために、飼い主さんが意識できることには次のようなことがあります。
・尿量や飲水量のチェック
・新鮮なお水をたくさん飲める環境を用意する
・塩分の多いものを控える
・定期的に健康診断を受ける
末永く大好きなネコちゃんと一緒に暮らすために、これらのことには気をつけてみて下さい。そして、何か気になることや不安なことがあればすぐに動物病院を受診しましょう。
熊本市の動物病院|どうそペットクリニック
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