全身麻酔は本当に必要?

ワンちゃんやネコちゃんの手術を行う際、全身麻酔を行うことがあります。

「麻酔が切れたら目が覚めてくれるのか」

「ペットは麻酔に耐えられるのか」

「麻酔によって具合が悪くなるのではないか」

こういった心配を感じられることは当然のことですが、今回はワンちゃんネコちゃんの手術に行う全身麻酔について解説したいと思います。

必要でないならばやらないほうがいい

ワンちゃんネコちゃんが全身麻酔によって亡くなる可能性は、基本的には1%未満と言われています。基本的には、ワンちゃんネコちゃんの手術において全身麻酔を使うのは”どうしても”必要な時であり、麻酔を行うことがデメリットを上回る場合でしかありません。

例えば、避妊・去勢、歯周病治療などにおいて全身麻酔を使いますが、麻酔中に行う処置がペットの今後の将来を考えた時にベストだと思われる場合には、特におすすめするようにしています。

麻酔をかける前に全身の検診を行います

 

ワンちゃんネコちゃんに全身麻酔を行う前には、「麻酔前検査」を丁寧に行います。麻酔前検査によって、全身の状態を確認した上で不調があると判断する場合には、手術を延期することもあります。ペットの体調がよくない時に麻酔を行うと、麻酔のリスク面が大きくなってしまう可能性があります。

麻酔をかける前にいくつかの検査を行うことで「全身麻酔をかけても大丈夫」という確証を得ることができるのです。

麻酔中の管理について

麻酔を行った場合、手術中の体調管理が重要です。心臓がしっかり動いているか、全身に酸素が行き渡っているかを常に管理しておくようにすることで、より安全に手術を行うことができます。また、万が一何かがあった時にはすぐに対応できるように、緊急時の体制を整えるようにしています。

なお、手術が終わってもワンちゃんネコちゃんが回復するまで呼吸や心臓の動きを確認し続けることになります。

麻酔実施の流れ

①術前検査

 ・一般検査(体重、体温、血圧、聴診、触診など)

 ・血液検査

 ・生化学検査

 ・内分泌機能検査

 ・レントゲン検査

 ・エコー検査

 ・心電図検査

これらの結果から、麻酔をかけるかどうかを判断します。

②麻酔の手順作成

麻酔を実施することが確定したら、次のことを決めていきます。

・麻酔前投与薬

・麻酔導入薬

・維持麻酔薬

・点滴量・種類

・投与量

また、緊急時のお薬も用意しておきます。

 

③酸素化や麻酔前投与薬の投与

不安や恐怖、痛みをとったり大人しくさせる鎮静薬などを投与します。薬がある程度効いてきた段階で酸素を嗅がせて肺のウォーミングアップを行います。

 

④麻酔導入薬を投与

 

⑤気管内挿管

麻酔導入薬が効いてきたら、気管内チューブを入れて酸素吸入とガス麻酔薬を投与します。

 

⑥維持麻酔

麻酔深度を調節しながら手術を行います。手術中の状態については、モニターに情報をうつしながら確認し、体に異常がないかどうか把握します。

 

⑦術後管理

手術室から回復室(もしくは集中治療室)に移動します。術後、補助なしで起立や歩行できるようになるまで、数分おきに意識や呼吸状態、粘膜や心拍数などを確認します。

覚醒から3時間まではこまめに観察するようにします。

麻酔の不安はご相談ください

当院では、ご家族への説明と患者様への配慮を一番に考えた麻酔を行っています。冒頭でも解説した通り、麻酔を行うのはペットにとってメリットがデメリットを上回ると判断した時のみですから、むやみやたらに行うことはありません。

愛犬愛猫など、大切なペットへの麻酔は不安で当然。まずはお気軽にご相談ください。

熊本市の動物病院|どうそペットクリニック

■住所
〒861-8039 熊本県熊本市東区長嶺南4丁目10-1
■TEL
096-285-5755
■アクセス
熊本ICから車で10分
「福祉センターグラウンド前」バス停下車から徒歩1分
■サイト
【公式ホームページ】
https://douso-petclinic.com/

その他のコラム

猫が妊娠!
出産までにやるべきこと

猫が妊娠!出産までにやるべきことや出産時に注意することは? 「おうちの猫ちゃんが妊娠した」「妊娠中の野良猫を保護した」。出産を控えた猫と暮らすことになったとき、飼い主はどんなことに気をつけて過ごし、何を準備しておく必要があるのでしょうか。今回は、猫の妊娠から出産までの注意点をご紹介します。 妊娠期間 猫のメスは生後半年〜10カ月ほど、オスは生後3カ月ごろからはじまり、生後9〜12カ月で本格的な発情期を迎えます。その後、メ...

いつから受けるのが理想?子猫のデンタルケア

猫ちゃんのデンタルケアはいつからやればいいの?初めて子猫を飼うという方は、そんな疑問を抱かれるのではないでしょうか? 今回は、子猫のデンタルケアについてのお話です。 子猫は歯磨きが不要?そんなことはありません! 子猫のうちは、歯磨きがいらないと思っていませんか?実は、子猫の時期の歯磨きはとても重要なのです。 歯磨きの習慣づけは、人間と同じこと。小さい頃から毎日頑張るから習慣づいていきます。つまり...

狂犬病予防接種が
必要なのはなぜ?

犬の狂犬病予防接種が必要なのはなぜ? 動物からうつる病気のなかでも、特に恐れられているのが「狂犬病」です。 日本で犬を飼っている方なら、ほとんどの方が狂犬病という名前はご存知かと思います。日本では、「狂犬病予防法」が制定されており、年に1回のワクチン接種が義務付けられています。 しかし、なかには「散歩以外は、おうちのなかにいる室内飼いなのだから狂犬病のワクチン接種は必要ないのでは」と思う方もいるかもしれません。 ...

ワンちゃんは皮膚病になりやすい!トラブル例を知っておこう!

ワンちゃんは体が毛に覆われている分、皮膚はとても繊細です。繊細であるということは、それだけトラブルが多いということであり、犬種によっては治療や完治そのものが難しいケースがあります。 今回は、ワンちゃんの皮膚病で気をつけるべきことやトラブルの例について解説します。 皮膚に関するトラブル例 ワンちゃんの皮膚は、トラブルによってバリア機能が低下して悪化するという悪循環になることがあります。トリミングや日々の生活で異変が見つ...

老犬に多い病気について 愛犬の長生きのためには定期的な健康診断を

シニア期を迎えた愛犬の健康管理は飼い主さんにとっても非常に重要な問題だと思います。年齢とともに体力や免疫力が低下し、さまざまな病気に対するリスクが高まります。そのため、愛犬の健康状態を維持し、快適なシニア期を過ごすためには、定期的な健康診断が欠かせません。健康診断を通して病気を早期に発見し、適切な治療やケアを行うことで、愛犬の寿命を延ばすことができます。この記事では、老犬に多い病気と定期的な健康診断の重要性について解説していき...

096-285-5755WEB予約