ワンちゃんの負担が減る!腹腔鏡手術とは?

ワンちゃんの手術法の一つとして注目されている「腹腔鏡手術」をご存じでしょうか?

ワンちゃんへの負担を減らすことができる点から注目されている手術法ですが、実際のメリットやデメリットはどういったものなのか、今回は「腹腔鏡手術」について解説します。

腹腔鏡手術とは

この手術は、お腹の皮膚の2〜3ヶ所に切開(3〜10ミリ)し、カメラや器具を挿入してテレビモニターに映し出された鮮明な拡大画像を見ながら行う手術のことです。これまでの開腹とは異なり、傷が小さいことで痛みや臓器への負担が少なくなることが大きなメリットと言えるでしょう。

メリット・デメリット

では、腹腔鏡手術にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれを解説します。

メリット

①傷が小さい

手術時の傷は3〜10ミリ程度なので、回復が早いことが大きなメリットです。傷口を舐めることが減ったりエリザベスカラーを早く外せることから、ワンちゃんへの負担がとても少なくなります。

②臓器の湿潤環境が保たれやすい

胃や腸の機能回復が早く、癒着が少ないことでイレウスなどが減少します。

③内視鏡でお腹の中を見ながら手術できる

避妊手術においては卵管を無理に引っ張らないことによってダメージを減らすことができる他、卵巣の取り残しを防いだり止血の確認をちゃんとできることから、肥満犬や大型犬でも安全に治療を受けることが可能です。

④記録等が残しやすい

映像などの記録が残しやすいため、飼い主さんも安心して治療経過等をみることができます。

デメリット

①視野に限界がある

小さな傷から内視鏡を入れるため、視野には限界があります。治療に関してはしっかりとトレーニングを積む必要があります。

②不慣れな技術で行うと危険なこともある

腹腔鏡手術自体に、スキルが必要です。臨床経験をしっかりと積んだ人であれば問題なく使いこなせるでしょう。

③機器の導入が高額

この治療に活用する機器は、比較的高額と言われています。そのため、導入している医院は少ない現状があります。

腹腔鏡手術でできること

①避妊手術

卵巣や子宮の取り出しが丁寧に行えるため、避妊手術時に行われることがあります。

②腹腔内陰嚢手術

普通であれば陰嚢内に降りてくるはずの睾丸が、お腹の中や鼠蹊部の皮下に止まる状態のことを陰睾(または潜在精巣)といいます。これは腫瘍化するリスクが高いことから手術で摘出する必要がありますが、腹腔鏡手術であれば確実に摘出が可能となります。

③膀胱結石手術

膀胱結石手術は、モニターで一つずつ確認しながら取り除いていくことが必要になります。肉眼では確認しきれないところもしっかり見つけられるため、腹腔鏡手術による処置が有効です。

全ての病院でやっているわけではない

腹腔鏡手術は、全ての病院でやっているわけではありません。ペットの病気の症状や重症度などによって治療法は使い分けられるため、医師の話や意見等は聞きつつニーズを伝えていくようにしましょう。

熊本市の動物病院|どうそペットクリニック

■住所
〒861-8039 熊本県熊本市東区長嶺南4丁目10-1
■TEL
096-285-5755
■アクセス
熊本ICから車で10分
「福祉センターグラウンド前」バス停下車から徒歩1分
■サイト
【公式ホームページ】
https://douso-petclinic.com/

その他のコラム

愛猫が認知症にならないために飼い主さんが行いたい対策

愛猫が認知症にならないか飼い主さんはとても心配だと思います。年齢を重ねるにつれて、猫の脳の機能が低下し、認知症のリスクが高まるため、早めの予防策が必要です。今回は猫の認知症について詳しくお話ししていきます。愛猫の認知症予防に役立ててください。   猫の認知症とは 猫の認知症は、年齢を重ねるにつれて、脳の機能が低下することによって引き起こされる症状の総称です。猫は人間と同じように、老化によって脳の神経...

予防接種でワンちゃんを守る!ワクチンの基礎知識

ワンちゃんを飼うことが決まった場合、必要に応じてワクチンや予防接種を受けさせる必要があります。 なぜ、ワクチンや予防接種が必要なのか、どういった種類があるのか、受けるタイミングはどうすればいいのか?など、今回はワンちゃんのワクチン・予防接種について解説します。 犬のワクチン・予防接種が必要な理由 ペットは、いろいろな感染症にかかるリスクがあります。ワンちゃんについても例外ではなく、モノによっては命に関...

シニア期を迎えた犬猫の飼い主さんが気を付けたいこと

犬や猫はシニア期を迎えると様々な病気にかかるリスクが上がります。 本記事では シニア期に差し掛かった愛犬や 愛猫に対して飼い主さんが気をつけたいことについてご紹介します。 適切なケアや注意点を理解することで、 ペットの健康的で快適なシニアライフをサポートしましょう。   いつからがシニア期? 犬のシニア期 犬のシニア期の年齢は、犬種や個体差によって異なりますが、一般的には7歳から10歳頃がシニ...

飼い主さんが知っておきたい「全身麻酔」のリスクについて

全身麻酔は、ペットの手術や診療時に一般的に使用される方法ですが、飼い主さんにとっては心配事のひとつです。本記事では、全身麻酔のリスクを軽減する方法について解説します。これらの情報を理解し、適切な対応を行うことで、ペットの安全を確保しましょう。   全身麻酔とは ペットの全身麻酔とは、手術や診療時にペットの意識を一時的に喪失させ、身体全体の感覚や痛みを鈍らせるために使用される麻酔方法です。全身麻酔は、...

一度は受けるべき?内分泌的検査とは

日々、犬や猫の体の中では様々なホルモンが分泌されています。これらのホルモンはとても大切なものであり、生命の維持に欠かせません。しかし、こういったホルモンの分泌はバランスが崩れることによって様々な病気を引き起こすことにつながります。今回は、動物の内分泌に関するお話です。 内分泌疾患について 副腎皮質機亢進症 別名、クッシング症候群と呼ばれています。副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって起こり、多飲多尿や腹部膨満、毛ヅヤが悪...

096-285-5755WEB予約